不確実な時代を生き抜くための経営術、エフェクチュエーション入門<前編>
今回は、弊社代表の高崎が社員研修内で教えている、「不確実な時代を生き抜くためのエフェクチュエーション入門」前編をお届けします。
私たちが培って来たノウハウを広く皆さまと共有することで、お役立ていただけたら幸いです。
YOUTUBEもぜひご覧ください。
エフェクチュエーションとは?
ノーベル経済学賞を受賞したハーバード・サイモン教授の弟子、経営学者サラス・サラスバシー氏が提唱した経営術で、「会社経営が上手くいく方法」を定量的な調査から導き出しています。
単なる経験や勘ではなく、複数回何らかの成功を収めた企業家たちの思考/行動パターンを、アカデミックに研究・抽象化しているのが大きな特徴です。
最近では、みずほ銀行のサイトで特集が組まれる程注目を集めており、経営者や起業家は知っておいて損のない理論と言えるでしょう。
企業の生存率
まず前提として知っておきたいのが、「企業の生存率」。
実は、起業1年目の生存率は約70%。さらに10年経過後には約26.1%に低下し、10年で7割以上の企業が潰れる現実があります。
例えばあなたが20歳から60歳まで働く場合、職業人生は40年ですが、企業の寿命はそれよりもずっと短い可能性が高いのです。
スタートアップの失敗
スタートアップは失敗に終わるケースがほとんど。
失敗の理由をヒアリングした結果、「市場ニーズがなかった」「資金不足」「チームが悪かった」が上位3つに挙がりました。
最も多い「市場ニーズがなかった」はつまり、「誰も欲しがらないものを作ってしまった」ということ。努力不足ではなく、努力の方向もしくは場所を間違えているのです。
伝統的な経営学でよく言われる言葉「市場分析をしましょう」
このような失敗を防ぐために、従来の経営学では「市場分析」が推奨されてきました。
代表的なフレームワークとして、3C分析、PEST分析、SWOT分析、5F分析、STP分析などがあります。
これらに共通するのは、今ある市場セグメントやターゲット、ポジショニングを分析し、その上で「自分たちが適切な立ち位置を取ることができれば、失敗を未然に防げる」という考え方です。
問題:
突然ですが、ここで問題です。
スマホで音楽が聴ける時代に、ソニーのウォークマンがある理由で大ヒットしました。そのある理由とは何でしょうか。(考えていただける方は、シンキングタイム!下に答えを掲載しています)
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答え:
正解は、「音楽マニア向けの高音質なデバイスとして受け入れられたから」。
多少データが重たくなったとしても、とにかく音質にこだわりたい層が存在していたのです。
これはセグメント分析からニーズを発見した成功事例です。今まで培われてきた市場分析型フレームワークの大勝利といえるでしょう。
スターバックスの成功の謎
逆に、従来の分析では説明しきれない事例もあります。
例えば、スターバックスもその一つ。スターバックスの創業当時はコーラが人気の時代で、コーヒー市場は縮小傾向にあったため、単純な市場分析では成功が難しいとされていました。
にも関わらず、スターバックスはなぜ成功したのでしょうか?その謎を解く鍵は、エフェクチュエーションに存在します。
エフェクチュエーションの何が革新的か
今までの経営学では「最初に目的を考え、市場を分析し、計画を描き、脇目も振らずに実行する」が成功の方程式。成功には因果関係がある、という考え方が前提にありました。
一方、エフェクチュエーションでは、「自分の価値観や手段から出発し、人の役に立つことを繰り返すことで、成功はもたらされる」と考えています。
前編はここまで。後編ではより具体的に、エフェクチュエーションの5つの原則について、事例を交えてお話していきます。こちらもぜひご覧ください。