写真入門・第5回|「カメラの選び方」で大切なポイントとは?
写真入門最終回は「カメラの選び方」です。量販店のカメラ売り場にいくと、機種がたくさんあり過ぎて迷ってしまいますよね。今回はデジタルカメラを選ぶときのポイントをご紹介したいと思います。
写真入門・目次
第1回「絞りとシャッタースピード」
第2回「露出とホワイトバランス」
第3回「レンズの種類と遠近感」
第4回「写真を撮る時のコツ」
第5回「カメラの選び方」
目次
画素数とセンサーサイズ
自分に必要な画素数を考える
どれだけの大きさでプリントしたいか、そのサイズによって求められる画素数が違ってきます。たとえば、A4サイズまで引き伸ばしてプリントすることがある場合、商業印刷レベルの美しさでも1200万画素あれば充分といわれています。そんなに大きくプリントすることなく、はがきサイズ以上に引き伸ばさないのであれば、300万画素で充分です。
画素数が高いほど画質が良いというわけではない
誤解されがちなことなのですが、画素数は高ければ高いほどほど良いというわけではありません。
画素数が必要以上に高すぎると、画質が落ちるというデメリットがあるのです。具体的にはたとえば、明るいところがすぐ白く飛んでしまって階調が豊かではない、というようなことになります。
デジカメは、フィルムにあたるセンサーがカメラに入っています。センサーのサイズが大きければ、画素数が高くても問題はありません。しかし、センサーの大きいカメラは値段が高くなります。センサーの小さいカメラで、つまり小さい面積のセンサーでたくさんの情報(画素)を集めようとすると、画質が落ちてしまうのです。
大切なのは、センサーの大きさに対する画素数のバランス。充分にセンサーが大きくない場合は、必要以上に画素数が高いカメラは、画質の低下という意味で、避けた方が良いと思います。
センサーサイズが大きいほど画質は良くなる
センサー(撮像素子)のサイズは、カタログで注目すべきところです。なぜなら、写真の画質に大きく影響するからです。大きいセンサーであるほど、明るいところから暗いところまで階調が豊かで、ノイズが少なく、さらに一眼レフらしいボケを得ることができます。
ミラーレス一眼でいうと、SONYのNEX-7はAPS-Cサイズといって大きめのセンサー(23.5mm x 15.6mm)が入っています。OLYMPUS PENはマイクロフォーサーズといってそれよりひと回り小さいセンサー(17.3mm x 13mm)です。
ハイエンドのデジタル一眼、NikonのD4・D800・D600や、Canonの 1D・5D・6Dなどは、フルサイズという35mmフィルムとほぼ同じサイズの大きなセンサー(36mm x 24mm)が入っています。
iPhone 4/4Sは、1/3.2インチ(4.6mm x 3.4mm)の小さなセンサーです。多くの携帯カメラは、このぐらいの大きさのセンサーです。それぞれのセンサーサイズを比較すると、下記のようになります(※わかりやすいように実寸より大きくしています)。概して、センサーサイズが大きいほど画質は良くなります。ただしそのぶん、値段も高くなります。
※上記カメラ、各モデルのスペックは2012年10月現在のもの
自分が使いたいレンズは何か
カメラを選ぶポイントとして、自分が使いたいレンズが何なのかということも選択肢の一つになります。つまり、そのレンズが使えるメーカーを選ぶという考え方です。
自分が使いたいレンズ、それは、自分がどういう写真を撮りたいか、ということにつながります。例えば、ボケを作りたい場合は、明るいレンズ(F値が小さいレンズ)を使います。
レンズの明るさ =開放F値に注目する
上のレンズは50mmの単焦点レンズで、レンズの先頭に1:2と書かれています。F2という明るさのレンズになります。絞りを開放にすると、F2になるということです。
上のレンズは50mmの単焦点レンズで、レンズの先頭に1:1.2と書かれています。F1.2という明るさのレンズになります。絞りを開放にすると、F1.2になるということです。
これは前者F2より明るいレンズ、つまり、ボケが作りやすいレンズということです。
※F値の違いについてはこちらの記事をご覧ください。
ちなみに、明るいレンズは値段も高いです。なぜかというと、ガラスがたくさん使われているからです。光をたくさん取り込むためには、レンズの口径を大きくする必要があるので、ガラスをたくさん使うのです。その分、値段が上がります。
ズームレンズの落とし穴
ズームレンズは便利です。しかし、その仕組み的に光を多く取り込みにくいので、ズームレンズで明るいレンズ(ボケを作りやすいレンズ)はびっくりするくらい値段が高くなります。そのため、一眼レフらしい、ボケを生かした写真を撮りたい場合は、単焦点レンズを選んだほうが現実的だと思います。
ズームが付いていない単焦点レンズは、ズームに慣れていると最初は不便に感じるかもしれません。でも、被写体から遠かったら自分が近づけば良いのです。50mmの単焦点レンズならば、離れれば広角のように広く、近づけば望遠のように寄って撮ることができます。
レンズ選びに迷ったら、最初の一本として、50mm(フルサイズ以外のカメラでは、35mm換算で50ミリ)の単焦点レンズをおすすめします。
ミラーレス一眼という選択肢
一眼レフカメラは、レンズから入ってきた像を鏡で反射し、それをファインダーでのぞく仕組みになっています。それに対して、ミラーレス一眼はその名の通り、鏡がありません。ではどうやって見ているかというと、センサーに取り込んだ画像を、液晶画面で見ているのです。ミラーレス一眼は、ボディの中に鏡が無いため、コンパクトで、軽いのがメリットです。
ミラーレス一眼のウィークポイント
ただ、現在はまだ、オートフォーカスでピントを合わせるスピードが、一眼レフに比べると少し遅いです。そのため、動いているものを撮るときは使いづらさを感じるかもしれません。しかし技術の発展でオートフォーカスの反応速度は上がってきているので、絞りを開いてボケを作れるレンズを手軽に手に入れられる、という点では魅力的だと思います。
5回にわたってご紹介した「写真入門」いかがでしたか?基本的な用語から撮り方のコツまで、少しでも皆様のカメラライフのお役に立てれば嬉しく思います。