写真入門・第2回|「露出とホワイトバランス」を上手に活用して、印象に残る写真に!

写真入門第2回は「露出とホワイトバランス」です。「この写真用語、聞いたことがあるけど実はよくわかっていないかも」というカメラ初心者の方、ぜひ一緒に勉強しましょう。それではスタートです!

写真入門・目次
第1回「絞りとシャッタースピード」
第2回「露出とホワイトバランス」
第3回「レンズの種類と遠近感」
第4回「写真を撮る時のコツ」
第5回「カメラの選び方」

露出補正

写真を撮るとき、ちょうどよい光の量がカメラに取り込まれる状態を、前回コップの水の例で説明しました。基本的にカメラは、自動で絞りとシャッタースピードの組み合わせを調節してくれるのですが、ある特定の環境でその調節が狂ってしまうことがあります。

それは、真っ白のものや、真っ黒のものを撮るときです。たとえば、真っ白の雪は、そのまま撮るとグレーになります。これは、カメラの露出計(光の明るさを計る装置)が、反射率18%という明るさのグレーを写すことを前提にしているので、それよりも明るい色である白を「明るすぎるから暗くしよう」、それよりも暗い色である黒を「暗すぎるから明るくしよう」と判断してしまうために起こります。

このような現象が起きた場合に役立つのが、写り方を正しく補正してくれる「露出補正」。露出補正は、ほとんどのカメラについている機能です。通常、+と−の目盛りで調整でき、白いものはプラス補正をするときちんと白く、黒いものはマイナス補正をするときちんと黒く写ってくれます。例えば雪景色を撮るときは、プラス補正をすると、グレーにならず、真っ白な雪に写ります。

雪の写真(露出補正なし)

雪の写真(露出補正あり:プラス補正)

積極的に露出補正を活用する

露出補正は本来補正のために使う機能ですが、それを表現に生かし意図的に露出オーバー気味(ハイキー)の写真、露出アンダー気味(ローキー)の写真を撮ることも可能です。効果的に使うことで、独特の世界観を作り出したり、強いインパクトを与えることもできます。

ハイキーの写真

ローキーの写真

露出計が基準にしている反射率18%のグレー

これはグレーカードといって、カメラの露出計が基準にしている反射率18%のグレーで塗られたカードです。カメラに入っている露出計は、この明るさのグレーを写すことを前提にしています。極端に言うと、これより明るい色のものを撮るときは、プラス側に露出補正をしないと実際より暗く写り、これより暗い色のものを撮るときは、マイナス側に露出補正をしないと実際より明るく写る傾向があります。グレーカードはカメラ量販店などで簡単に買うことができます。このアイテムの便利な使い方は後ほどご説明します。

ホワイトバランス

デジタルカメラ特有の設定項目に「ホワイトバランス」というものがあります。普段はオートになっているかもしれませんが、色として白を、黄みがかったり青みがかったりせず、きちんと白く写すための機能です。

光には「色温度」と呼ばれるものがあり、太陽光、曇り空、蛍光灯、電球など、光の種類によって色みが変わってきます。色として白をきちんと白く写すためには、その環境の光の色を、カメラが正しく認識する必要があり、それを「ホワイトバランス」で設定することができるのです。

料理写真を例に、ホワイトバランスの設定が変わることで、写り方がどう変わるかを見てみたいと思います。

蛍光灯モード

この料理は、蛍光灯の照明をあてて撮っています。そのため、ホワイトバランスを設定する場合、"蛍光灯"を選択すると、概ね正しい色で写ってくれます。

ただし、蛍光灯によっても微妙に光の色の違いがあるので、厳密には、ホワイトバランスが若干ずれています。これをさらにきちんと合わせる方法は、「カスタムバランス」で説明します。

晴天モード

同じ環境で、今度は晴天モードのホワイトバランスに設定して撮ってみました。少し赤っぽくなっています。

電球モード

電球モードのホワイトバランスに設定して撮ってみました。ホワイトバランスが大きくずれているので、不自然に青っぽくなりました。

カスタムホワイトバランス

「蛍光灯モード」で、「同じ蛍光灯でも微妙に光の色の違いがあるので、正しく蛍光灯モードを選択しても、厳密にはホワイトバランスが若干ずれる」と言いました。

厳密にホワイトバランスを合わせ、"色として白を白く写す"ためには、露出補正の項でも紹介した、グレーカードを使います。グレーカードのグレーは、無彩色のグレー(赤みがかってもいない、青みがかってもいない、色の鮮やかさが無いグレー)です。

カメラのホワイトバランスを設定する際、「カスタムホワイトバランス」を選んだ上で、このグレーのカードを撮ると、それを基準にホワイトバランスが設定されます(くわしい設定方法はカメラ説明書のカスタムホワイトバランスのところを見てください)。

下の写真が、カスタムホワイトバランスで撮ったもので、色がしっかりと合っています。普段の撮影では必ずしも使う必要はありませんが、ホワイトバランスというものを知る上で、参考になるかと思います。

このようなカスタムホワイトバランスの設定は、商品写真など、厳密な色あわせが必要な場合には必須です。そのような場合でなくても、料理写真を撮る時はホワイトバランスがきちんと合っていると一段とおいしそうに写るので、ぜひ試してみてください!

積極的にホワイトバランスを活用する

ホワイトバランスは本来、補正のためにあるものですが、積極的に活用することもできます。例えば、夕焼けを撮るとき、ホワイトバランスで曇天モードや日陰モードを選択すると、実際よりも赤い夕焼けが撮れます。いろいろと設定を変えて、試してみてくださいね。


絞り、シャッタースピード、露出、ホワイトバランス。写真とカメラに関する基本用語がだんだんとわかってきましたね。次回は「レンズの種類と遠近感」についてです。カメラを学び始めるとわかってくる、レンズ選びの楽しみ。簡単にわかるレンズの違いをご紹介したいと思います!

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