「Webサービスの作り方入門」〜Webサービス開発のプロセス(前編)〜
FacebookやTwitter、YouTubeやクックパッドなど、Webサービスは毎日触れていて日常にかかせないものになってきています。そこで、Webサービスとは何か、正解があるわけではありませんがどんなWebサービスも、データの「作成」「編集」「削除」「表示」しかやっていない、と考えます。データにあたる部分が140文字のテキストならば、それはTwitter。インターネット全体の情報の作成、編集、表示を行っているのがGoogle。料理のレシピである場合はクックパッド。一方、Webサイトというとデータの表示しかやっていません。自分が「どんなデータの作成、編集、表示をしたいのか」が企画につながってくるのではと思います。Webサービスというと、作ったことがないと遠い世界のように感じるかもしれないが、このように考えると、割合身近なイメージになるかもしれません。
Webサービス開発の流れには大きく分けて6つのプロセスがあります。
- 企画
- 資金調達(貯金がある等の人はない)
- チームを組む(一人で何でもできる人はなし)
- 実装する
- リリースする
- 宣伝する(普及させる)
企画する
自分がほしいものをつくることが企画の鬼門だと思います。あるいは自分がユーザー、お客様になれるもの。その反対として、みんながほしいもの、みんなにうけるんじゃないか等、「みんな」が主語に始まっているなっているものは、意外と当たらないと思います。私がほしいもの、私がお客さんになるもの、というところから始めると、自分がほしいと思ったものは誰かもほしいと思う可能性があります。みんなから愛されようとすると愛されないけれど、誰か特定の人を愛したら愛してもらえる、といった感じです。
当社がリリースしている自社サービスのOnceはtodo管理とtodoにどのくらい時間がかかったか、チーム内でシェアできるサービスです。これは自分たちのwant、needから始まったサービスです。背景としては、non-standard worldはいつどこで仕事をしても自由な会社のため、始業時間や終了時間、オフィスもありません。普段、高崎はカフェなどでノマド、佐藤は在宅が多いのですが、同じオフィスにいなくても、何やっているのか、今働いているかを共有する必要がありました。例えば、クライアントワークのプロジェクトに変更が入った場合、追加の料金を必ずしも取ることができません。そのため、時間単価をリアルタイムに管理しないと、時給300円でデスマーチのように働くことがあったりと、時間あたりの単価、指標をみる必要がありました。時間単価がわかることは便利で、指標としてわかるので、それによって対応や追加の交渉がはっきりします。意外と大変だと思った仕事が時間かかってなかったり、客観的に見ることができています。
このように、「みんな」を主語にせず、自分のwantから始めるのがいいのではないかと思います。
資金調達をする
もともとお金持ち、貯金がある人はいいけれど、Webサービスは作るためには、デザイナーとエンジニアを約1ヶ月は拘束するものが多いので、フィーも支払っておいたほうがボランティアよりもきちんとしたクオリティになります。お金を調達する方法は4つあります。売る、もらう、借りる、出資を受ける。世の中の事業をやる上でお金を得る手段は大抵この4つのどれかです。
売る
本業は別にありながら、Webサービスをつくるというスタイルが当てはまります。週末だけWebサービスにあてる、など。non-standard worldの場合は、クライアントワークで稼ぎながら、利益の何%かを自社サービスの開発に当てています。この方法のメリットはリスクが少ないということ。デメリットは、時間的制約があるということ。本業をやりながらだと、いつも早く帰れる訳でもないので、どうしてもそれだけに勝負してる人に対してはなあなあ感があるかもしれません。ただし、はじめての人にとってはリスクが少ないと思います。ただし、ビジネスとして起業する人にとっては別かもしれません。
もらう
マイクロパトロンプラットフォーム、ソーシャル資金調達プラットフォームという言い方で、 代表的なものに、日本ではCAMPFIRE、アメリカではkickstarterがあります。こういうプロジェクトをやりたいと投稿したら、100円なり3千円なりを寄付してくれるサービスがあります。最近話題になったものでは、自主制作映画で400万を調達した例があります。寄付した人には、例えばスタッフロールにのる、というリターンはあります。ただし、金銭的なリターンがある場合は投資になります。何かをやっている人を応援したい層は世の中に一定層存在するんですね。Webサービスをやりたいという投稿をして資金調達してもいいのではと思います。メリットはリスクが少ないです。万が一、誰も振り向いてくれなくても、プロジェクトオーナー側に金銭的な損はありません。デメリットは、どう考えるかによりますが、寄付は気持ちによる部分が多いので、寄付してもらったお金を営利目的で使うのはどうだろうと思います。例えば、映画が400億も儲かったとします。寄付した人は何も金銭的リターンはありません。このとき、果たしてもめないのか、と。寄付は不安定なので、ただほどこわいものはない、という諺があるように、 最初から寄付をあてにして事業を始めるのは経営者として考えたとき不安定だと思います。ただ、非営利でWebサービスをやりたい場合はいいかもしれませんね。
借りる
これは、Webサービスを作る場合の選択肢から外したほうがいいです。おすすめはしません。理由は、あたるかどうかわからないものに対して借金で資金調達をするということはとても危険なことだからです。これが小売り業ならば話は違います。例えばMacBook Airを5万で仕入れて10万円で売る商売ならば問題ないと思います。なぜなら、MacBook Airはある一定の値段までさげれば必ず売れるからです。Webサービスは一定の値段に下げても売れない可能性が高いです。この差はとても大きいと思います。一般的に借金は、借りた翌々月から返済が始まります。手元に現金があるうちはいいですが、手元に現金がなくなった場合、MacBookAirを5万で売りさばき借金の返済に当てよう、という決断ができます。Webサービスの場合は、1千万円資金調達したとき、1千万円損する可能性があります。ダメージが想定できないのです。選択肢としては、両親や親戚など、万が一の場合を返済を待ってくれる、追加の利子がない借り方はいいと思います。
出資を受ける
たいていの人は人生で経験することのないお金かもしれませんね。出資は、元本が保障されないかわりにリターンが大きいです。メリットは大きな勝負ができるということです。借金や寄付と違って、自己資金がなくても勝負ができます。デメリットは実績、能力が社会から認められている必要があるという点です。出資を受けるための一般的なハードルとして、この人に100万円出資したら500万円になるだろう、と投資家に思ってもらえたら出資が受けられる、といいます。このように投資家を説得させる力が必要になります。もう一つのデメリットとしては、金を出すと口を出されるという点です。また短期間で結果を求められるため、長い目で見て良いサービスでも、投資家からマネタイズを要求されてつぶれていくサービスもあります。さらに、もしそんなプレッシャーに打ち勝ち、サービスもヒットしたとしても、自分の金銭的取り分が少なくなる可能性があります。出資比率に応じて、だいたいリターンは反映されます。そのため、例えば2人のチームでサービスを作る場合、Aさんは1000万円、Bさんは1万円出資したとします。Aさんはほとんど働かず、Bさんは1年間毎日徹夜で働きサービスがヒットした、という時、金銭的取り分が多いのは、ほとんど働いていないAさんになります。もちろんAさんは1000万円を失うリスクをもって出資したからではありますが、このようなケースのデメリットがあります。
以上が4つの資金調達の方法になります。
書き起し前編は企画と資金調達までです。Webサービスをつくるイメージは少しできましたか?後編はチームをつくり、実装、リリースへと進みます。お楽しみに!