米Appleもクライアントに持つ精鋭のデザインファーム 「IDEO」のイノベーションは、「ユーザーの本音」から生まれる

アップル、マイクロソフト、サムスン、プラダ、P&Gなど数多くのグローバル企業をクライアントに持つシリコンバレー発のデザインコンサルティングファーム、IDEO(アイディオ)。

製品、サービス、コミュニケーションから企業戦略までをデザインするIDEOが、どのように「デザイン思考」によってイノベーションを生み出しているのか。その方法を学べるかオンラインスクール「IDEO U」が開講したので、受講してみました。

第1回コースのテーマは、「Insights for Innovation(イノベーションにつながるインサイト)」。
講義で学んだことを一部ご紹介します。

150427-0003

http://www.ideou.com

GETTING STARTED
はじめに

Insights Fuel Innovation
インサイト(ユーザーの本音)はイノベーションを生み出す

インサイトの重要性について。

・IDEOのアプローチはユーザー(のニーズ、欲求)を中心に据えて考える。

・インサイト(ユーザーの本音)が画期的アイデアを生み出し、イノベーションにつながる。

例)Bank of America「Keep the Change」キャンペーン
デビットカードの新規加入者を増やすため、IDEOが企画したキャンペーン。
アメリカ人のお金の使い方について調査し、お釣りのやりとりを面倒がるという点に注目、デビットカードで購入時のドル未満のお釣り相当額が自動的に預金されるキャンペーンを実施して成功を収めた。

・コースの目標は、インサイトとイノベーションの循環を生み出し、クリエイティブに対する自信をつけること。

How This Course Works
本コースで学ぶ内容

1)Practice Observing:ユーザーを観察する
2)Learning from Extremes:エクストリームユーザーから学ぶ
3)Conducting a Great Interview:インタビューでユーザーの本音を聞く
4)Immersing in Empathy:ユーザーに共感する
5)Sharing Insights:得られたインサイトをチームで共有する

OBSERVING
観察

Practice Observing
ユーザーを観察する

観察とは”目で聴くこと”。
好奇心を持ち、中立的であることが、新しい視点につながる。

Getting Curious
好奇心を持つ

好奇心を持つためのウィーミングアップとして「鞄の中身見せてください」。

Practice Interpreting
解釈する

持ち物から持ち主のことを知るエクササイズ。
4枚の写真(持ち主は写っていない)を手がかりに「持ち主の人生のテーマ」、「価値観」、「よりよく知るために持ち主に聞きたい質問1つ」を考える。

See What an Expert Sees
エキスパートの眼

IDEO講師による模範解答。
What(何を持ってるか)、How(どのように持ってるか)、Why(その理由は何か)の3つの観点を持つことが重要。
インタビューの前に観察から学べることは多い。

6 Tips for Observing
観察時に注目すべき6つのこと

・Things that prompt behavior :行動を誘発しているもの
・Adaptations:工夫していること
・What people care about:関心事
・Body language:ボディランゲージ
・Patterns:複数のものに見られるパターンやルーティン
・Unexpected:意外なこと

EXTREMES
エクストリームユーザー

Why We Learn from Extremes
なぜエクストリームユーザーから学ぶのか

標準的な性格や嗜好のユーザーではなく、エクストリームユーザー(極端なユーザー)にインタビューをすることで、インスピレーションを得る。
例)キッチンツールの企画にあたり、有名シェフと子どもにインタビュー

Identifying Extremes
エクストリームユーザーの特定

年齢、性別、民族、身長、健康状態、行動などから、切り口を設定。
さらに、どれだけ拡げられるかに留意。例えば行動(経験)については初心者とプロが両極端だが、初心者の中でも幼稚園生、プロの中でもトッププロを選ぶ。

Experts Identifying Extremes
エキスパートによるエクストリームユーザーの特定

IDEOがどのようにエクストリームユーザーを選定するかデモンストレーション。

INTERVIEWING
インタビュー

An Interview Gone Wrong
間違ったインタビュー

インタビューの悪い例:アイコンタクトを取らない、ボディランゲージがない、質問を投げっぱなしで回答から発展しない。
改善するためには、相手に関心を示し、関係を深めるのが大切。

5 Tips for Interviewing
良いインタビューのために大切な5つのこと

・Open-ended questions:自由回答の質問をする。回答に対して「なぜ」を繰り返す。
・Show me :言葉で話すだけでなく、関連するものを見せてもらう。
・Start broad and finish deep:最初はその人を知るための質問から始め、後半に知りたいトピックについての質問をする。
・Build rapport:うなずき、アイコンタクトなどのボディランゲージ。質問者のほうが知識があり、回答者があたかもテストされているかのように感じさせないよう気をつける。
・Mind the gap:発言と、発言に表れない行動や感情が一致しているとは限らないことに留意。

EMPATHY
共感

Why Empathy Matters
なぜ共感が重要なのか

「共感」がユーザー理解に重要。
ユーザーの置かれている状況に身を置き、気持ちを理解することが大切。
例)白内障の老人の理解のため、眼鏡にヴァセリンを塗って曇らせた視覚を体験する

An Exercise in Empathy
共感のエクササイズ

エクササイズとして、世界3都市で自転車通勤している人がウェアラブルカメラで通勤中撮影した映像を見て、感じたこと、類似点と相違点を挙げる。

4 Tips for Empathy Immersion
共感を深めるために大切な4つのこと

・視点を変える(例:身長を考慮)
・制限を設ける(例:身体的な制限)
・自分自身でやる(例:入院の体験)*動画撮影すると効果的
・似た経験をする

INSIGHTS
インサイト(ユーザーの本音)

The Anatomy of an Insight
インサイトの分析

説得力のあるインサイトのまとめ方について。

インサイトとは
・Authentic:実際のユーザー観察から得られるもの
・Non-obvious:誰しも思いつくような自明なことではない
・Revealing:ユーザーが潜在的に感じていたこと、考えていたことを明らかにするもの

良いインサイトを導き出すためのコツ
・Inform:ユーザーのニーズとウォンツを明らかにするものか
・Inspire:行動に移すべく気持ちに働きかけるか
・Memorable:言葉で印象的に表せて、共有しやすいか

4 Steps for Summarizing Insights
インサイトのまとめ方

観察、エクストリームユーザーの視点、インタビュー、共感体験から得られたインサイトを絞り込み、意味づけする。チームで行う。
1)Capture:発言の引用、観察からの気づき、解釈を付箋に書き出す。
2)Connect:意味合いでまとめる。テーマづけを試みる。重要なものはハイライト。
3)Craft:共有するためにインサイトを導き出す(直感を頼りに、時間をかけて行う)。
4)Storytell:言葉とビジュアルでストーリーにまとめる。

CONCLUSION
おわりに

Course Conclusion
講座のむすび

新しい目で見ること(Seeing with new eyes)が大切。

初心者は、「観察」、「インタビュー」にフォーカスすることがおすすめ。
経験者は、「エクストリームユーザーの視点」、「共感体験」にフォーカスすることがおすすめ。


 

講義のビデオでは、実演も交え、IDEOのアプローチが分かりやすく解説されています。
IDEOでは、大学のような雰囲気さえ垣間見られる風通しの良い環境で、フラットで自由な議論が行われているのが印象的でした。
 
表面的なユーザーリサーチでは顕在化したニーズに応える製品しか生み出せませんが、一歩踏み込んでより深いインサイトを得ることが、IDEOのイノベーションの秘訣にありそうです。
 
こういった思考方法の体系化は、欧米人の得意とするところだと感じますが、”天才”の仕事に依存せず、誰でも質の高いアウトプットが出せる組織作りという点でも勉強になります。
 
IDEO Uでは今後も新しいコースが開講される模様です。講義はすべて英語になりますが、興味を持たれたらぜひ受講を検討されてみてはいかがでしょうか。


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